爪楊枝ウキ(超高感度)

 タイリクバラタナゴ釣りは道具に頼る釣りですので、使われる道具は繊細を極めていて各人がそれぞれに素晴らしい道具を使っています。特に親ウキに関してはその傾向が強く感じられます。研ぎ出しをはじめ、漆塗りの伝統技法を取り入れたものや、見ているだけで楽しくなるポップ感覚の彩色を使ったものなど・・・それはもう使う人の嗜好の数だけ種類があります。どうしてこんなに親ウキへの思い入れが強いのか?・・・その理由は、親ウキは目立つ存在であり、尚且つ竿のような難しい事もないので素人でも簡単に作れてしまうからだと思います。ちなみに釣るだけならそんなに見た目が良いウキでなくても何の問題はありません。ですから、道具に頼るこの釣りの良いウキというのは美しさに主眼が置かれています。しかし良いウキの条件としてもう一つ重要な事があります。それは、ウキ本来の役目である“いかに魚の魚信を釣り師に伝える”か?という事です。要は“感度”と言われるものです。感度は慣性の力が働かない事(ウキ自体の重量が少ないこと)と浮力が少ないこと(限りなく0に近い事)、そして魚が引き込むときの水の抵抗が少ないこと(ウキの断面積と表面のなだらかさ)の三点で構成されます。勿論ウキ自体の重量が0だったり体積が0だったりすることはありませんので“できるだけ”近付けることが機能的に良いウキということになるわけです。
 そして、その機能的に良いウキが誰にでも簡単に作れるので紹介させていただこうと思います。・・・爪楊枝ウキです。


爪楊枝ウキ(左3本は20年前に作成、4本目は4年前に作ったもの) 

作り方は超簡単で、わざわざ書くほどのものではありません。ご家庭にある爪楊枝(もしなかったら買って来て下さい)に色を付けて防水しただけの物です。

画像の左3本の初期型(20年前に作成したもの)はすでにヒビはいってしまっていたりトップの塗装が飛んでしまって防水効果がなくなっていますが、このくらいなら瞬着を塗るだけでまだ使えます。そこまでして使う物でもないのですが(笑。この頃はちゃんと斜め通しにして作っていたので(これは結構大変です)大切に使っています。でも現在はわざわざこんなことしなくても斜め通し相当の効果、もしくはそれ以上の効果が得られる方法を考案していますので斜め通しにする必要がなくなりました。よって皆様はこんなことせずに新たに作ってしまうことをお勧めします。4本目は訳あって極小の輪を付けたテストバージョン、要はプロトタイプです。5本目は初心に戻るための初期型の複製。その右はトップを尖らせて水の表面張力を少なくするために今回作ったものです。長さも変えてみました。

爪楊枝ウキの特徴は、何をさておいてもその卓越した感度です。先日見た目に素晴らしい道具で武装したタイリクバラタナゴ釣り師がこのウキを見つけてわざわざ見に来ました。見ている前で何匹か釣ったら『そんな粗末な道具でよく釣るね!』ってお褒め頂きました。余りの大差に気分を壊したらしく(この時点で53対4)、途中で帰って行ってしまいました。ちなみにこの釣果の差は場所ではありません。その人の要望で途中で釣り場を交換していますので。想像ではこのウキとハリスの違いだと思っています。

 セッティングはこんな感じです。


道糸への取り付け

 このような取り付けです。取り付けには下のようなウレタンパイプを使います。


爪楊枝ウキの場合は0.7と1.0でいいと思います。

このパイプを好みの長さにカットして予め道糸に通しておきます。勿論下が0.7で上が1.0です。下の0.7にウキの足を入れ、上から1.0を通します。位置はどこでもいいですが、上の方がいい感じです。二ヶ所の留めがあるので機能的には斜め通しウキとまったく変わりません。

(斜め通しのウキのように、ウキの中に糸を通していないので)他のウキへの交換は楽です。斜め通しのウキは一旦竿から仕掛けを外さなければなりませんが、このウキはただ挿し換えるだけです。これを利用して同じ仕掛けでウキを換えるだけで弱しもり、強しもり、トップバランスの釣りができてしまいます。暖かな日の喰いが立っている時にはそんなことはどうでもいいですが、真冬の氷が張る頃にはこのように釣り方を変えられる事は大きな武器になります。

で、このウキの使い方ですが、まず覚悟しなくてはいけないのが立ちがすこぶる悪い事です。特に使い始めはほとんど立ちません。よって、ある程度糸ウキが立った時に道糸を上に引いてウキを立たせてあげる作業が必要になります。そのために上にもウレタンパイプを付ける必要があるのです。ですから遠くのポイントに投げ込むと上に道糸を引けないので立たせる事ができません。竿先の真下付近に置いておかなければなりません。しかし、使い込むとだんだんと水に馴染んでひとりでに立つようになりますので、多少沖も狙うことができるようになります。
 それともう一つこのウキの特徴があります。それはウキを立てても完全に立たない、つまりは僅かに斜めに立っていることです。最初の頃は真っ直ぐ立たないのが気になって仕方がなかったのですが、使っているとそれがとても有効であることが解りました。特に魚信が小さい真冬に緩やかな流れの中を釣っている時などにはすこぶる有効です。ゆっくりと傾いたまま流れていたウキがその斜めの方向が変わることがあります。要は回転するのです。これは魚信です。糸ウキにも出ない居食いの魚信だと思います。ですから、そのまま放置しておくとその後糸ウキに魚信が出ます。要は糸ウキより早く魚信が出る親ウキです。

 現在このウキの発展バージョンを試作中です。出来上がって試して良かったら報告致します。乞うご期待っ!

ってことで発展バージョンを作りました。それはこちら・・・・・