船酔い対策

 皆様は船酔いしませんか?僕は船に乗るたびに船酔いします。多少に関わらず絶対酔います。『慣れなくては』と思って、意地になって毎週船に乗っていても一度として船酔いをしなかったことはありません。多かれ少なかれ必ず酔ってしまいます。僕にとって船は、魚が釣れなければ絶対に利用しない移動機関だと言っても過言ではありません。
 こんな僕ですから“何とか酔わずして、快適な釣りができないか?”と常に考えて来ました。これは船釣りを初めた時からずーっとですから、かれこれ30年も考え続けている課題であるわけです。
 結論から言いますとこれといった解決策はなく、今のところ“軽くする”までです。しかし船釣りを始めて間もない諸氏などのヒントにはなるかもしれません。

要は
1.体調を整えておく
2.空腹・満腹・睡眠不足は大敵
3.薬
の三点に絞られると思います。


【船に乗る前にやっておくこと】

1)服装
 体を締め付けるものは酔いやすくします。特に冬の釣りは沢山着込むので体が締め付けられます。服は1〜2ランク大きいのを購入して体がいつでもリラックスできるようにします。特に腹・胸の周辺はゆったりした服装を!

2)体調
 まず一番整えておかなければならないのは胃です。釣行3日前くらいに必ずチェックしてください。特に慢性胃炎の人は自分が胃を悪くしていることに気が付かないでいることが多いですから(僕はそうです)、3日前くらいから胃薬を飲んで、少しでも胃の調子を良くしておきます。また釣行前日は海苔、卵、コーンなどの消化の悪いものは食べないようにします。お酒も胃には良くありません。釣行前日は我慢しましょう。

3)睡眠不足
 睡眠不足も大敵です。釣りの前日はワクワク・ドキドキでなかなか眠れないものです。何十年釣りを続けてきても「明日はデカイのが来るかなぁ?」とか「沢山釣れそうだ」とか・・・大人の遠足ってところでしょうか?しかも僕のように海無し県(埼玉)から、しょっちゅうあっちこっちに行く人間にとっては、前日徹夜は当然の行為で、地理的に仕方ないことでもあります。できましたら一人での釣行をやめ、行きの運転は休ませて眠らせて頂き、その分帰りに運転をするようにした方が良いと思われます。

4)満腹
 『腹が減ってはは戦は出来ぬ』と昔から言われます。しかし、あまり満腹でも戦は出来なかったと思われます。船に乗る時は腹5分目を基準にしてください。8分目では多過ぎです。

5)空腹
 食べ過ぎると酔うからと言って、釣行前に食べない人がいます。これもまた酔う原因です。上記しましたが腹5分目。これがベストです。僕の場合は出船一時間前に軽く食べておいて(和食がお勧め)、船に乗ってから『酔いそうだな』と思ったらあまりひどくならない内に少し食べてみて、もしもそれが功を奏したらもう少し食べます。そうやって自分に合った量を判断していきます。
 また、胃が悪くて酔う人には生クリーム系の食べ物を摂ると良い場合があります。僕は結構これでイケます。一般的に生クリーム系などというとより酔いやすくなりそうですが、実は胃粘膜を保護する所為か結構効くことがあります。胃の不調が原因と思われる方は一度試してみてください。

6)二日酔い
 二日酔いは御法度。そもそも酒を嗜好しない僕にはあまり関係がない話ですが、前の晩にお酒を飲んでいると胃が荒れてます。その上二日酔いは頭痛などもあって辛いものです。こんな状態で船に乗ったら、酔うのは明らかです。わざわざ酔う状態を作らず、釣行前日は飲まないのが一番だと思います。

7)酔うことを恐れない
 僕が船釣りを始めた頃、船に乗る前はいつも『あぁーあ、今日も酔っちゃうかなぁ?』とか『酔ったらやだなぁ』等と思っていました。基本的に『酔う』という言葉を連想しただけで酔ってきてしまうのが船酔いでもあります。呑兵衛は『飲んだら乗るな』という交通安全の標語を見た途端に呑みたくなってしまうと聞きます。これと似たようなものではないでしょうか?とにかく『酔う』
という単語を脳から排除することが大切です。

8)薬
 酔い止めとして売られている薬は沢山あります。ここで注意しなければならないのは、これらの薬は“酔い止め”ではなく“酔い予防”です。よって酔ってからでは効き目はないと思ってください。酔う前に飲む事が大切です。一般的には船に乗る約30分前に飲むのが普通です。
 最近は飲みませんが(帰りの運転が眠くなる危険があるので)、飲む時は船に乗る30分前にアンプルを一本飲んで、乗る寸前に錠剤を呑みます。

9)釣り具
 まず、リールを竿に装着したり、ガイドに糸を通したりすることは船に乗る前にやってしまって置いてください。そして仕掛けは出来るだけ簡単に交換できるよう工夫し、しかも多めに準備しておいて下さい。船の上で仕掛けを作っていたりすると必ず酔います。



【船に乗った後にやること】

1)釣り座
 釣り座は出来たら船頭さんの隣。船は操船室が一番揺れないようにできています。よってそこが一番揺れない釣り座です。そして『この席は船酔いに対しては他の釣り座よりも有利な釣り座だ』と自分に言い聞かせることです。また、排気ガスも船酔いの原因です。難しいのですが、風を考えてなるべく排気ガスが来ない所に釣り座を構えてください。また、隣の人がタバコを吸っていて、その匂いで酔ってしまったことがあります。釣り座を移動できたら移動し、出来なければ、その人がタバコを取り出したら少しの間釣り座を離れることです。

2)なるべく近くを見ない
 特に初心者は支度に手間取り、出航しても仕掛けをあれこれといじっていることが多いです。これは確実に酔います。まずは釣り場に着いたら仕掛けは接続するだけにしておいて、できたらそれもできるだけ陸上で接続し終えて船に乗り込みます。船に乗ったらロッドキーパのセットや尻手ロープのセットなどの船の上でしかできないことだけを最短時間で終えるようにします。
 また移動中にキャビンに入る事は厳禁です。近くしか見えませんから。よほど慣れた後か自信が付いてからにしましょう。

3)船を降りない
 港について、釣り支度を終えたら船からなるべく降りないで、湾内に係留された船の軽い揺れで体を慣らしておく事も大切です。船頭さんと話をしたり友達と話をしたり・・・なるべく愉快に過ごすこと。

4)体に波を教える
 船が動き出したら潮のかからないところに立って、波にあわせて膝を曲げ伸ばしして調子を取ります。波が高い時は必ずどこかにつかまってやります。このとき注意しなければならないことは、必ず進行方向に体を向けることです。こうすることによってその日の波に体が同調してくれるようです。座ったり横になって眠ってしまったりすると、ポイントに着いた時にツケが廻ってきます。極力その日の波を体に教え込むことを心掛けてください。

5)声を出す
 船に乗ったらなるべく喋ってください。それもわざと普段よりちょっと大きな声で。黙ってしまうのが一番良くないです。少々の船酔いであれば、酔ってしまった後でも大声を出して身体を動かせば治ってきてしまうことが多いです。

6)体を動かす
 竿先をじっと見ているヒラメ釣りなどはとても酔い易い釣りです。かといって船の中で運動会をやっているわけにも行きません。酔ってきたら餌を取りに行ったり、イワシを生かす桶の水を変えたり、身体を動かすこと沢山あるはずですから、とにかくじっとしていないことです。 

7)オマツリ
 自分で解かないように。絶対に駄目です。上記したように仕掛けの交換はすぐに出来るようにしてあるので、オマツリの相手に『すみません。酔ってしまったのでお願いします。僕の仕掛けを切って下さい。すぐに交換可能ですから』と言ってお願いしてしまいましょう。



【酔ってしまったら】

酔ってしまったら方法はないと思ってください。が、少しだけですが、軽減させる方法を列挙します。

1)服装
 まずは体中のきつい所を緩めます。特にズボンのベルトがきつめだったりしたらすぐに緩めてください。ベルトを外してジッパーを降ろしたって、どうせその上にはカッパを着ているので大丈夫です。

2)吐く
 基本中の基本です。普通は一回吐けば随分楽になります。しかし、二度目が来たらかなりきついです。それはすでに吐いてしまっているので、胃の中が空っぽになっているからです。僕は一度吐いたら、次に備えて少し食べていました。このときもクリーム系の物やバナナなどツルっとしたものやヌルっとしたものを食べます。これは吐くときが楽だからです。要は吐いたら次ぎに備えて食べておく方が次に吐くのが楽です。

3)耳たぶを揉む
 船酔いをすると何故か耳たぶが硬くなっています。医学的な要因や根拠は判りませんが、何故か耳たぶが硬くなっていることが多いです。酔ってしまったら両耳の耳たぶを両手で揉みほぐします。胸がすーっとして気持ちが良いです。

4)立つ
 酔ってしまったら座ってないで、立ってください。膝のクッションが効く所為か徐々に軽減して来ることがあります。もしも許されるなら船の中を歩き回ってください。血行が良くなる所為か立っているだけよりも軽減してくることが多いです。横になってしまうのは最悪です。

5)鷹の爪を食べる
 鷹の爪は交感神経を刺激するので、食べた後汗が出たり体温が上がったりします。よって船酔いにも効くらしいです。TVでもやってましたが、クルーが数人船に乗って、酔ったら鷹の爪の丸々一個を辛いのを我慢して良く噛んで飲み込むと、速攻で気分が回復するとの事でした。こんな良い情報はありません。基本的に辛い物が大好きな僕ですから早速チャレンジしてみました。鷹の爪は手に入らなかったので、途中のコンビニで七味唐辛子を一瓶買い込み、自信をもって船に乗り込みました。船は久しぶりなので、乗ってから30分も経たない内に立てないくらいの船酔いに襲われました。で、買って来た七味唐辛子をスプーン一杯くらい左手に乗せ、一気に口に放り込みました。辛い〜〜〜っ! ヒーーーヒーーーっ!・・・これで良くなるはず。。。しかし、今度は山椒などの香辛料の匂いが鼻について、かえって気持ち悪くなって・・・重症の船酔いになりました(爆死。これをやるときには唐辛子ではなく、鷹の爪でやらなくてはいけないようです。ちなみに2012年11月現在、鷹の爪でテストはしておりません。



《奥義・・・自己暗示》

 船酔いに最も利くものは自己暗示です。船酔いには、精神面が大きく影響しています。船酔いしたときの苦しい経験から必要以上に船酔いを意識するようになり、そのため船に乗っただけで、または乗る前から「酔うのでは…」と神経を混乱させてしまっているのです。これこそが自律神経を不安定にさせている最大の要因です。体質だからとあきらめないで「自分は酔わない」と強く暗示をかけてみてください。僕は『クリーム系の物を食べると酔わない』と自己暗示を掛けられるようになってから随分と楽になりました。