逆さ毛鉤の巻き方

 一般的にはテンカラ専用の鈎やフライ・フィッシング用の鈎を使います。これらには環が付いています。
 僕の場合、昔のテンカラを追っていますので、伝承毛鉤のように環も絹糸を使って自分で取り付けます。これが出来るようになると餌釣り用の鈎も使えるようになるので、バリエーションが増えて一段と毛鉤巻きが面白くなります。
 今回の逆さ毛鉤にはグランのイクラ鈎3号を使いました。この鈎は刺さりが良く、折れる事はあってもかがる事が少ない男らしい鈎です。

環(アイ)の取り付け
 まずはミミをラジオペンチやニッパ等で切断し、切断面の鋭利な部分をヤスリで丸めます。


上は無加工、下がミミを落とした状態です。

次にこれをバイスにセットします。


鈎の軸が水平になるように。できたら鈎先も隠してセット。

まずは下巻きとして鈎のチモトからフトコロに向けて20回ほど巻き付けます。


ピンボケですみません。

次にこの上に環となる糸を乗せて、今度はルーズに巻きとめて再びチモトまで巻きます。


そして、再びフトコロにに向けて10回ほど巻いて環となる糸を仮固定します。


出来た環を使いやすい大きさにし、形を整えるためにエキスプローラーなどの先が尖った物を環に通して押し広げます。





毛鉤巻き
 環が付いたら、そのままチモトの所を糸でグルグル巻きにして玉状にします。


ここでこちらは一休みで、蓑毛にする羽根の用意をします。今回は白の雌鳥の羽根を使いました。羽根は色々な大きさがあるので適当な毛足の長さの物を選びます。最初はわからないでしょうから実際に鈎に沿えて確認して選べばいいと思います。選んだ羽根は根元のフワフワした部分(『ウェッブ』と言います)を除去します。


軸を少し残して置いてください。

そして巻きたい量の毛を指で立てます。


指で挟んで羽根毛の方向の逆に引くと立ちます。

毛を立てた部分と、まだ寝ている部分の間を鈎の軸に当ててスレッドで巻いて固定します。この時、クリアランス(羽根を巻く幅+α)を考慮した位置に固定する事が大事です。


そしてハックルプライヤーで先端の羽根軸をつかんで鈎に、できるだけ密に巻いて行きます。巻き終えたら仮止めのため3〜4回巻いておきます。そして余った羽根の軸(ハックルプライヤーでつかんでいた部分)はハサミで切り取ります。


この時点では沈み花笠みたいな毛鉤となっていますので、その蓑毛を総て前方に倒して、最初に作った玉の根元を2〜3回軽く巻いて仮止めします。


この時点ではまだ蓑毛はあまり開いていません。蓑毛が鈎の周りに平均するように分配して、そして少し力を入れながら同じ所を巻いていくと蓑毛が開いてきます。


蓑毛の角度は鈎軸に対して45度くらいが釣れます。・・・人が(笑。

好みの開き具合のところで力を入れるのを辞めて、そのまま環を作った糸とともにフトコロの方に巻き進めます。この時、糸と糸の間に隙間が出来ないように綺麗に巻いて行きます。そして鈎が湾曲している部分を通り越して少し行ったところでUターンして巻き続けます。鈎の湾曲部まで行かないうちにUターンすると環の糸がスッポ抜ける事がありますので、確実に湾曲を超えてください。そうしてUターンの後、蓑毛の付近まで巻き戻り、蓑毛を巻くことによって出来た段差の所がスムースになるように糸を巻いて形を整えます。


そしてウィップフィニッシャーで止めて、環を作った糸を切って出来上がりです。最後の止めは5回巻きが良いと思います。根拠はありませんが、5回が強いように感じています。ヘッドセメントを使う人は5回巻きを一回で良いと思いますが、僕はヘッドセメントをなるべく使いたくないので5回巻きを2〜3回やって止めるようにしています。
 出来上がりです。蓑毛の中に玉が見えてます。