コケ対策
コケ・・・アクアリウムにおける邪魔者の代表格ですね!『人をコケにする』などという言葉があるくらいですからどれだけみんなに嫌われているかは簡単に理解できますね。
ところがこのコケ、嫌われても嫌われても平気な顔をして生えてきます。取っても取ってもまた出て来ます。汚らしくてしぶといのですから嫌われてあたりまえです。僕もこのコケを何とかしようと思って色々と試行錯誤してやっています。
そもそも、水草が入っていない水槽であればコケ対策は簡単です。光合成を阻止する薬(『水の素』として売っている)を入れてしまえば総てのコケが全滅するらしいです。でも、水草が入っていない水槽なんてクリープを入れないコーヒーみたい(こんなフレーズを言うと、歳がバレルかなぁ?)ですね!水槽の中のグリーンは目を休め、見る人の脳からたくさんのα波をに引き出してくれます。また、水草は魚に有害な物質も吸収してくれるので魚にとっても嬉しいこと。ましてや物陰に隠れる習性をもつ魚にはここが心安らぐ空間になる事は間違いないと思います。
当然ながら、水草水槽に光合成を阻止する薬は入れられません。よって、ここにコケとの戦いが始まるのです。
僕も水槽を始めてから30年余り。考えてみれば30年間コケと戦ってきたようなものです。その労力が功を奏して、現在でははなりコケを出さないコツを得て来ました。そこで、コケで悩んでいる皆様の一助になればと、僕の秘策(ってほどのモノではないですが)を公開します。
ここでは滅茶苦茶しっかり付着して、こすっても除去し辛く、かつ見た目にも悪い一番厄介な髭状コケの対策を中心に話を進めて行こうと思います。
僕がいう髭状コケとは。↓↓↓こんなコケです。
右の画像のように流木などに付いた髭状コケは薬品で簡単に殺せます(木酢酸の原液をかけて、10分放置すれば即死)。
木酢酸で死んだコケ(紫になります)
しかし、上段の左と中の写真のように水草の茎や葉の周りなど、水槽から取り出せない物にに付いてしまった場合が問題です。薬品で殺そうとすると水草自体がやられてしまうことがあるので、できたら薬品を使いたくありません。付かないようにするのがベストですが、よほどの熟練者でなければこれは難しいです。ってか、無理です。それだけの労力を使う事も馬鹿らしいし・・・・・。要は水草にコケが着くより早くどんどん水草が繁殖してくれれば、このような茎や葉は切ってしまえば良いのです。結局のところ、コケと水草の生長競争に勝つということです。
基本的な考え方
『コケに辛くて水草に優しい環境を作る』この一言に尽きると思います。しかしながらコケも水草も水中の養分を栄養素とし、二酸化炭素を吸って、光をエネルギーとして光合成を行って成長繁殖するということに関してはまったく同じ事をしているわけで、片方(コケの方)だけの光合成を止めさせるということは難しく考えられがちです。しかし、実はそれほど難しいことではないのです。というよりは、このことを利用するのです。
要は植物が必要とする栄養分は水槽という閉鎖された(限られた)空間では無限ではありませんので、コケが必要とする栄養分を水草が総て吸収してくれれば、コケは栄養失調になってしまうのです。よって、水草が元気良く育ってコケの分の栄養分まで吸収してくれることがコケを生やさない最大の武器になるわけす。ここで食物残渣(餌の食べ残し)や糞などの有機物がどのように分解されていくのかを大まかに書きます。ちょっと難しいですか?でも、これだけは知っていてください。
有機物
↓←←←←←バクテリア
アンモニア
↓←←←←←バクテリア(ニトロソモナス)
亜硝酸
↓←←←←←バクテリア(ニトロバクター)
硝酸塩
要は食物残渣や魚の糞はバクテリアによって分解されて、最終生産物質である硝酸塩になります。硝酸塩は水草やコケが養分として吸収し、光合成して成長します。しかし、硝酸塩だけでは成長しません。その他成長に必要な主な物として、カリウムや鉄分(二価鉄)があります。微量元素も必要です。
で、(ココからが重要です)硝酸塩は食物残渣や糞から必然的に発生するのですが、カリウムや二価鉄は自然に発生しません。よって水草やコケは水道水に元から含まれているそれらの成分を摂って、硝酸塩とともに成長しているのです。しかし、水道水中のカリウムや二価鉄は水草やコケの成長に充分な量ではありません。カリウムや二価鉄を使い果たしてしまうと(合成が成り立つためには硝酸塩・カリウム・二価鉄が必要)光合成を充分に行う事が出来ず、養分(硝酸塩)の吸収をも辞めてしまいます。要は硝酸塩を水槽内に溜めてしまってコケの発生を容易にしてしまうのです。そこで登場するのが肥料(カリウムや二価鉄)です。肥料でカリウムや二価鉄を水草にだけ与えられれば、水草は硝酸塩・カリウム・二価鉄が揃うのでんどん光合成をして成長します。要は水中の栄養分(硝酸塩)を吸収するのは水草であって、コケは吸収させずに栄養失調にさせてしまうとうことです。では、どうやって水草だけにカリウムや二価鉄を与えるか?が問題です。しかしこれは簡単な事です。底砂にだけカリウムや二価鉄を添加するのです。それも底砂の表面の方ではなく、深い所に。それには長いスポイトか注射用のシリンジを使うといいです。これらの用具を使って水草の根の先にあたる部分を狙って底砂に注射するようにして施肥します。こうすれば、水草は根からカリウムや二価鉄を吸収し、葉や茎から硝酸塩を吸収して光合成をどんどん行って成長します。一方コケは硝酸塩はあっても、カリウムや二価鉄が無いので、せいぜい漏れ出たカリウムや二価鉄を使って細々と光合成するのが精一杯でしょう。これで、明らかに水草に有利な水槽が出来上がるのです。
二酸化炭素
二酸化炭素の添加は、コケのことを考えたらやはり必要だと思います。勿論魚が沢山入っていて、充分な二酸化炭素が供給されていれば良いのですが、魚も水草も成長しますので、そのバランスを取るのは我々のような素人には神業だと思います。それよりも少々少なめの魚にして、不足する二酸化炭素を補って調整する方が楽だと思います。
また、二酸化炭素を添加することにより、水草は早く生長をしようとしますので、水中に熔けている硝酸塩などの養分をどんどん吸ってくれます。勿論、コケも二酸化炭素を必要としますが、カリウムや二価鉄が足りないのであまり成長できません。よって、より水草に有利な環境が出来上がります。
二酸化炭素の量は水槽に植えられている水草の量と魚の量、及びそれらの活性の高さによって異なります。僕の場合、最初はだいたい5秒に一泡くらいの量で様子を見て、その状態を見てから増やしていきます。概ね3秒に一泡くらいで落ち着く事が多いです。二酸化炭素の添加は蛍光灯点灯時だけです。僕は蛍光灯と二酸化炭素の添加機にタイマーを付けて、点灯時の30分前から消灯の4時間前に二酸化炭素の供給が切れるようにしています。
方法
一言に『コケに辛くて水草に優しい』と言っても難しそうですね。(実は簡単なのですが・・・)
まずは大切な水草をいかに健康にするかが問題です。元気な水草にコケが付くことは少ないからです。
皆様のようなベテランならもう理解していることと思いますが、まず、良い水を作ることです。良い水というのは純粋な水ということではありません。蒸留水みたいな水は想像しないでください。要は水槽とろ過層に良いバランスができればいいのです。水槽に水を張ってから間もない水槽は濾過槽のバクテリア叢がしっかりしていません。よって水草をやるなら最低でも一ヶ月くらいは魚のみを入れて(水草は入れないで、できたら汚れに強い魚を少数入れる。これをパイロットフィッシュと言います。)濾過槽のバクテリア叢を作ります。この間は間違いなくコケが出ます。気にならなければ(後でコケ撲滅大作戦をしますので)そのままにしておいても大丈夫です。気になるようであれば、気合で除去してください。
底砂は後々のことを考えて砂利状の物を使った方が良いと思われます。水草に良いとのフレコミで、泥状のものもよく売られていますが、あれは後で水草を抜いたりすると滅茶苦茶水が濁りますし、後で入れるプレコなどが底をかき回すと常に水が白濁してしまうことがあるようなので、できたら砂利状の物が良いと思います。ホームセンターで売っている砂利でも良いですが、あまり白い石が入っている砂利は水をアルカリ性にしてしまうことがあるので、控えた方が無難です。概ね水槽の底に5p以上の厚さに轢けるような量を買ってきます。
水槽の準備ができたら最小限の魚を購入してきます。パイロットフィッシュですので、高価なものは控えてください。そこら辺で捕って来た魚でもOKです。それと、できましたら炭酸カリウムを手配しておいて下さい。水草水槽を始めたらすぐに必要になるものですが、薬局でも取り寄せになることが多いので水草を植えるまでに手に入れておいて下さい。
@コケ撲滅大作戦
濾過槽に良いバクテリアが湧いて環境が整ったらいよいよ本格的に水草水槽の製作に取り掛かります。
まずは熱帯魚屋に行って好みの水草を買って・・・といきたいのですが、熱帯魚屋にはまだ行きません。まずはホームセンターです。ホームセンタに行って次のものを購入します。
・メネデール・・・(芽根出ーる?)あまりにもマンマのネーミングの園芸用活力剤です。基本的には二価鉄の溶液です。 人を小バカにしたような名前ですが、とても良いものです。薄めて使うので、一番小さなもの(多分100ml)で良いです。
・木酢液・・・コケを退治するときにとても便利な商品です。1.5lで500円くらいだと思います。
炭酸カリウム、メネデール、木酢液が揃いましたでしょうか?揃ったら下記の薄め液を作ります。
(水は水道水でかまいません)
【希釈液の作り方】
・炭酸カリウム(10%溶液)
250mlの容器に25gを入れ、水を入れて全体で250mlになるようにします。
薄める時に発熱しますので、水を先に張ってからそこに炭酸カリウムの粉を入れるようにしたほうが良いと思います。
・メネデール(100倍希釈液)
250mlの容器に2.5ml入れて水を足して250mlにする。
・木酢液(3倍溶液)
1.5Lのペットボトルに500mlを入れて、そこに水を入れて1.5Lにする。
用意ができましたらいよいよ熱帯魚屋へGOです。好きな水草を買ってきてください。水草に良い環境ができると水草はいきなり繁殖してきますので、少なめに購入してください。お勧めはなるべく葉の大きなものが良いです。小さなものは切れた葉がレストレーナーや濾過槽に詰まり易いです。また僕の場合、(影響はないと言われてますが)水面の油膜が気になって仕方がないので自作の油膜除去器(それほどたいしたものではない)を付けますので、油膜除去器とレストレーナーを葉でふさがれると、ろ過装置のモーターが壊れてしまいます。よってできるだけ大きな葉を持つ水草にしてます。その方が掃除も楽です。また有茎水草は後々、途中から根を出して見苦しいので個人的に好きになれません。よって根生水草がお勧めです。ついでにイニシャルスティック(テトラから発売されている固形肥料)も買っておきます。
好きな水草を購入したらその水草を上記で作ったメネデール溶液に漬けておきます。洗面器でもバケツでも何でもかまいませんから口の広い容器にメデネール溶液を入れて、そこに買ってきた水草を入れとくだけです。
そしていよいよここからが本番です。一旦魚を出して総ての底砂と器具を飽和食塩水に漬けます。水槽や器具は飽和食塩水を浸した雑巾をゆるゆるに搾って(食塩水が垂れるくらい)で全面にくまなく塩が行くようにします。器具や流木などは木酢酸の原液を全面くまなく垂れるほどスプレーします。そして最低でもそのまま15分は待ってください。これで今まででてしまった髭状コケは完全に死にます。そうしたら水槽の塩抜きをします。それには数回水を張って、水が行かない部分は手で水を掛けて、その水を除去して・・・を繰り返します。一番問題なのは底砂です。僕は底砂をバケツに分けて入れ、上に塩を目算で飽和状態になるだろう位の塩を乗せ、そこに水を掛けて底砂がヒタヒタになるくらいにしてその上にもう一度塩を入れて手でかき回して、そのまま15分以上おきます。その後数回良く水で洗って、今度はハイター漬けにします。できるだけ白い砂にした方が見た目に綺麗ですし、ハイターの漂白作用で葉緑素を抜いてコケの状態を悪くするのが目的です。ハイターはできるだけ濃くするか、時間を置くかしてできるだけコケにダメージを与えましょう。僕はバケツに水切りした底砂を入れて50〜100ccのハイターを入れて手袋をした手でかき回して30分くらい置いておきます。その後数回水洗して、今度は高濃度の木酢酸に浸して15分。そしてよーーーーく水洗してコケ撲滅大作戦は終了です。ここで注意することは塩分とハイターと木酢酸をよーーーく水洗して、できるだけ残さないことです。これらの薬品は、基本的には植物にとっては有害物質ですから。
A水草水槽のスタート
まずは水草のレイアウトを頭に描き、水槽の底にイニシャルスティックを轢きます。量は1p四方に1個くらいあればいいと思います(大体で結構)。沢山入れるとコケの猛攻に合うので、どちらかと言うと少なめにしてください。また、水槽前面は約5pくらいイニシャルスティックを轢かない方が良いです。これは(特に白系統の砂利を入れた場合)イニシャルスティックが見えてしまって外観を損ねるからです。
それを終えたらイニシャルスティックを移動させないように丁寧に底砂を乗せていきます。5〜10p程度の厚みで轢き終えたら定規などで砂利面を均します。
それを終えたら一旦水を張ります。なるべく濁らないように、お皿などで水を受けて最初はチョロチョロと入れます。そして水位がお皿を越え、その上20cmくらいになったらある程度強くしても問題はありません。それでもある程度は濁りますし、水面にはアクのようなものが浮きます。これはできるだけ取り除いて下さい。小さな容器で水面だけの水を吸い込む要領でできるだけ取り除きます。完璧でなくてもいいです。で、ある程度取ったらお皿の上まで一旦水を抜きます。そしてもう一度水を張ります。
水を張り終えたらいよいよ水草の植付けです。先ほどメネデールに浸しておいた水草を、あなたのセンスを目一杯引き出して水草を植えます。ゆっくりとやります。決して短気を起こさず、ゆっくりゆっくりやります。手早にしようとするとイニシャルスティックの濁り(成分)が水中に出てしまいます。形や向きも考えて手で底砂中になるべく根を広げてイニシャルスティックの養分を取りやすくして(合わせて抜け辛くなるので)植えます。このとき、ピンセットなどの器具を使って植えないで下さい。手で持てないような小さな水草は別ですが、できるだけ手で植えた方が水草に傷が付き辛く、レイアウトを壊しません。
レイアウトしたら一旦できるだけ水を抜きます。そして今度はよりゆっくりと水を張ります。これが最後の水なので、慎重にやってください。濁っても後で綺麗にはなりますが、これは明日からのコケの養分になってしまいますし、ろ過では中々消えません。そして何より水が透明な方が見た目に良いです。勿論魚も入れるわけですから水温も合わせ、塩素も抜いて下さい。
水を張ったら植え終えた水草を一旦眺めて下さい。レイアウトは大丈夫ですか?もしも見苦しかったらゆっくりと直します。また、鑑賞に堪えられないほど水が濁っていたら、水草はそのままでもう一度水を抜いて張りなおします。濾過槽を動かしてヒーターのスイッチを入れて、鑑賞に堪えられる位になったら・・・魚を入れます。
ご苦労様でした。これで総てがお終いです。
B日々の管理
せっかくコケ撲滅大作戦をやってもコケをまた生やしてしまっては何の意味もありません。折角大作戦を行ったのですから、ここからはコケを出さないようにしなくてはいけません。先にも言いましたが、これからはコケに厳しく、水草に優しい環境を作っていくわけです。一見難しそうに思えることですが、実はそんなに難しいことではないのです。コツは『水槽の水は貧栄養に、底砂中は富栄養に』するだけです。
水草水槽には液肥を入れることが多いですが、水草肥料の使用法にはそのまま水槽内に入れるようなことが書いてあるものが多いです。これだとコケに肥料を上げているようなものです。コケはその形態上、表面積がとても大きいので、栄養分が来ると一気に吸収してしまいます。それに比べて水草は吸収が遅いので、どちらかと言うとコケに優しくて水草に辛い環境ができてしまうわけです。ではどうしたらよいかというと、液肥を入れるときには注射のシリンジや先の細いスポイトを使って底砂中に入れることです。液肥は熱帯魚屋で売っている物は内容表示がないので使用しない方が良いです。調節ができなくなります。上記の炭酸カリウムとメネデールだけで充分です。また、熱帯魚屋で売っている液肥は、その量も水槽の大きさによって使用量が決まっているようなことが書かれていますが、これは大まかな目安であって、ほとんどの場合入れ過ぎです(沢山使ってくれたほうがメーカーサイドとしては儲かるので)。入っている水草の量や、その水草がどのくらい元気に育っているのか?によっても変わるのが当然です。決して水槽の大きさで使用量を決めないで下さい。概ね水草一株に対して、炭酸カリウムとメネデール共に0.5ccを目安に、底砂中に分散して注入します。
木酢液は肥料ではありません。木酢液添加の理由は、コケの繁殖を抑制するために行います。添加量は概ねで良いですが、先に作った三倍希釈液を水変え時に10Lに対して5mL添加します。イニシャルスティックはすぐに良い状態になるのではなく、しばらくして養分が腐敗してからが良いみたいです。水変えは3日に一度半量くらい変えます。一ヶ月以上が経ったら、各水草の根元から5pくらい離した根のある場所(眼では見えないので、想像でOKです)に、概ね1mlくらいの炭酸カリウム溶液をスポイトかシリンジを使って底砂の下の水槽底面に注入します。そうしたらまた水変えだけして一週間様子を見ます。良い状態で水草が生長してきたらここからは水変えの量を減らし、3日に一度1/3量にします。こうしてどんどん水変えの量とタイミングを減らして行きます。そして行き着くところ、どのくらい減らすかというと水を変えてから、水槽内のどこかにわずかにコケを見つけた時が換水の時期です。濾過の状態などによって変わりますので、毎日ちょくちょくチェックして下さい。そして次回からはコケが出る前に換水するようにします。
如何でしょう?綺麗な水草水槽になりましたか?
ここからは水草とコケとの勢力争いです。コケは水中から養分を摂ります。一方水草は勿論水中からも養分を摂りますが根からも摂ります。この違いをよーく理解してください。そうすれば水に直接添肥することは水草にとって良くないことであることが解ってくると思います。よって、水草が元気であるほど水中の養分を取ってくれるわけで、コケにとっては、自分たちが摂ろうとした養分を横取りされてしまうわけで、水草はコケにとって最悪な存在になります。ですから、水草を元気に成長させることがコケを生やさない秘訣と言っても過言ではありません。
ただ、ここで問題があります。
底砂の中を富栄養、水中は貧栄養にすると水草の丈が短くなってしまうのです。また、タイニムファのような水草は水中葉を出さなくなり、浮上葉ばかりになってしまいます。もっとも、考えてみれば根から十分な栄養が摂れるのですから、葉を出すのはそれに見合った光合成に必要な分だけです。これが逆に底砂の中が貧栄養で、水中が富栄養だと沢山の枝葉を伸ばしてそれらを吸収する必要が出て来るのですが、その逆の環境ですから水草にとっては枝葉を張る必要性が少なくなってしまうのです。よって、やはり水中にも栄養分を添加してやる必要が出てくるわけです。しかし、先にも述べましたが、水中が富栄養になるとコケが出てきてしまいますので、その辺を考慮しながら徐々に水中の肥料添加の量を増やして・・・要は、コケは出ないが水草は大きく育つ程度にすることが必要になる場合があります。またこの量は水槽にある水草の種類、大きさ、量に左右されますので、各自が経験を積んで体で覚えていくしか方法はありません。
蛇足ですが、タイニムファなどのような水草が浮上葉ばかり出すようであれば、はさみを底砂に突っ込んで、適当に根を切ってしまうと根からの栄養が少なくなるので水中葉を出して来ると聞いています。
施肥のタイミングには2つの方法があります。一つは水換えのときにやる方法。もう一つは水換えと水換えの間に施肥する方法です。これはその水槽の状態によって使い分けてください。水換えのときに施肥する場合、まず水換えする前に施肥して下さい。スポイトやシリンジで上手に底砂に入れてとしてもどうしても水中にも漏れてきます。よって、先に施肥してしまうのです。そして施肥を終えた後、漏れた肥料と共に換水すればより水中の肥料成分は除去されるわけです。よって、もっともコケの発生が低くなる方法です。しかし、上記したように、水中の栄養分があまりにも少ないと、水草たちは葉を張らずに根を張ってしまい、結局丈の低い水草になってしまうのです。よって水草の丈が伸びない場合は水換えと水換えの間に施肥する方法が良いと思われます。換水時は新しい水に微量元素(カリウムや二価鉄)も含まれていますので、そのままで良いわけで、一日くらい経つと、カリウムや二価鉄は水草やコケが使い果たし、底をついてしまっているはずですから、そのときに施肥してやるとコケより水草が有利になってより水中の養分を吸ってくれるのです。このとき、当然水中にも施肥してしまうので、その分がコケにも回ってしまいますが、当然ながら水草も吸収します。よって、根も張るし葉も張るといった状態ができて来ます。どちらが良いかはその水槽の状態によって変わりますので、各自状況判断で使い分けてください。
こんなコケ↓↓↓には木酢酸も塩も効かないようです。
左はガラスやアクリルの水槽に付く円状になるコケです。右は流木に付いたコケです(雷魚の前にある流木)。これも髭状コケですが、色が黒っぽくて髭が長く、僕がいう髭状コケとは種類が違うようです。円状のコケは三角定規でこそぎ取ってしまうのが簡単ですが、アクリルだと(写真はアクリル)画像のように沢山の細かい傷が出来てそこにまた発生してきます。ですから、出来たらガラスの水槽がベストです。右の雷魚の前のコケは見てくれが悪くないのでそのままにしています。もしも除去する必要が出たら金ダワシか何かで擦り取ってしまおうと思っています。