大磯砂(砂利)の酸処理
大磯砂は昔からアクアリウムの底砂や濾過槽の濾材として用いられて来ました。
僕も古い人間ですから、底砂と言えばこれしか頭にありませんでした。
事の発端は自宅の水槽(1800×600×600)が老朽化して来てしまったことにあります。この水槽にはエーハイム2260という外部濾過二個で可動しています。静粛性を謳っているこの外部濾過ですが、新品のうちはいいのですが、時間が経つとインペラーの軸が磨り減ってくるのか?音が気になるようになります。そこで、この外部濾過は壁に穴を開けて外のベランダに設置してあります。そのホースが外気にさらされ紫外線にさらされたため劣化し、いつ水漏れが発生してもおかしくないような見てくれになってしまったのです。
左(エーハ○ムの純正)も元は右のような色をしてました。
こんな事になってしまったのには訳があります。正直申しまして触りたくなかったのです。この水槽は常にいい状態をキープしており、何も手が掛からない水槽なのです。設置してから20年余り経ちますが、一度も濾過槽の掃除せず、ただ蒸発した分の水を足してコケが出たらそれを掃除するくらい。それでも僕が持っている3個の水槽の中でいつもトップの状態を維持しています。水の色はウィスキーみたいな色になってしまっていますが、それでも魚たちはすこぶる元気で長生きです。しかし、上記のようにとうとう一旦止める必要性が出てしまいました。
最初はただホースだけの交換と思っていたのですが、水を抜いてコケ対策してたら水槽の上面に二つ設置された補強(ピラー? 橋がけになってるもの)が折れていることが判明。これはマズイ状況です。もしもう一本の方まで折れたら、場合によっては一気に破壊します。すると600kgを超える水が一気に飛び出して来ます。僕はいつもこの水槽の前に座っていますので、そんな事が起こったらまず耐えられないでしょう。大怪我で済めばいいですが、場合によっては最悪の結果となる可能性だってあります。そこでまずはここを修理することにしました。まず水を全部抜いて魚は桶に入れて、外した外部濾過で水を回しておきました。空になった水槽の手前と奥側に引っ掛けを作ってロープで引っ張って水槽の膨らみをなくし(橋掛けの折れた所がピッタリになるように固定し)、裏側から幅を合わせた厚さ2mmのアクリル板をアクリル用の接着剤で貼り付けて仮固定します。接着剤が乾いたら、折れた面同士がより接着力を増すように隙間に瞬着を流し込みます。それを終えたら補強の橋(アクリル板)にドリルで穴を開け、ステンレス製のステーをネジで固定して終了。この時ネジを余り押し込むとヒビが入ってしまうのでは?と思いちょっとネットで調べました。そうしたらこのテの樹脂にネジを打ち込む場合は普通の木ネジではなく、それ専用の物があると。。。初めて知りました(恥)。樹脂用のネジは木ネジのテーパーのない奴だと思ってもらえればいいです。見た目はとても似ています。要はあまり応力が掛からないようになっているだけです。でもこれだと外れやすいので僕の場合は少々大きめな穴を開けて、接着剤を流し込んで、そこにネジを打ち込んで固定しました。
で、やっとホースの交換に取り掛かれるようになりました。外したホースは折れ曲がって流れが悪くなっている所があったので今回は塩ビ菅で配管し、壁に空いた穴に丁度入るようにしました。問題は、その穴が水槽の裏側にあるので、接着剤で固定してしまうと配管した塩ビ菅を壊さない限りは外れなくなってしまうのです。しかもそれを壊すのには長い柄の鋸が必要になります。そんなのは売っていないと思うので、もしその時が来たら長い柄の鋸から作らなければなりません。でも、接着しないともし水漏れが発生した時にはまた水槽の水を全部抜いて組み直す必要があります。どちらを採るか迷いましたが、結局前者を採りました。塩ビ菅で配管したらまず壊れることはないので、もし壊れた時には仕方ないと思いました。
で、やっと配管も終わって接着剤を乾かすために1日そのまま放置して・・・翌日水を張って一個の濾過槽を接続して水を回し出しました。上記したように20年間ほぼ放りっぱなしの水槽ですから、この際ちゃんと綺麗にしようと考えました。
愛用の除草剤『ラウンドアップマックスロード』を希釈して水槽の隅々まで霧吹きで吹き付けました。この除草剤は魚には有害なのでこんな時しか使えませんが、その効果は素晴らしいものがあります。
ラウンドアップマックスロード
何故かと言うと、この除草剤は葉から入って根を枯らすからです。一旦やればしばらく生えてきません。希釈は少々濃い目の3倍希釈。それを吹き付けたら1時間以上置くのですが、今回は完璧を期して1日おいてやりました。そしてその後三回水を張って捨ててを繰り返し、ラウンドアップマックスロードを抜きます。そしていよいよ魚を入れるために水を作ります。水を満杯に入れて規定量のカルキ抜きを入れて濾過槽を接続して回します。濾過槽は一つだけ掃除しました。状態は皆様の想像された通りです。20年も掃除していないのですから。そしてもう一個はそのままいじっていません。今までいい状態で来たのですからこのバクテリアが再び水槽を維持してくれることを願ったからです。もしやってダメだったら仕方がないので掃除しようと考えました。
そして魚(タイリクバラタナゴ)を一匹入れてみました。パイロットフィッシュです。そして二日間。実にいい感じです。そこで総ての魚を戻しました。
久し振りに広い空間に戻れた魚たち。最初はおどおどしていましたがすぐに落ち着いて以前のように泳ぎ出しました。今回はエアポンプは使わず、エアレーションは濾過の吐き出し口を水面から離して空気を混ぜ込む方法をとったので少々音がします。まぁそれはいいのですが、以前にはあまりなかった“流れ”ができてしまいました。基本的にあまり流れを好まないタイリクバラタナゴですので出来るだけこの流れを消して上げることを考えました。以前よりこの水槽には底砂を入れていませんでした。メンテが楽だと考えたのです(実際にはメンテはありませんでしたが)。でも、この“流れ”を消すのには底砂が水流の抵抗になってくれるのでいいのではないかと思い、今回は底砂を入れてみることにしました。そして底砂を入れるのであれば、行く行くはCo2を添加して水草も・・・なんて考えてしまいました。
で、やっと酸処理の話になります。
酸処理って何?・・・正直僕はそこまですることはないと思っていました。以前、冷水魚(ヤマメ・イワナなどの渓魚)を飼育していた時、その濾過(オーバーフロー式)に大磯砂利を使っていました。当然その頃は酸処理なんて知識はなかったのでいきなり濾過槽に放り込みました。ご存知のようにオーバーフロー式の濾過槽の大きさは自由です。基本的に大食漢の渓魚を飼うのにはそれなりに大きな濾過槽が必要となります。というより、だからオーバーフロー式を選び、大き目の濾過槽にして飼育していました。ですからそれなりに大量の大磯砂を酸処理なしにいきなり使いだしたのですが、何も問題はありませんでした。そのまま20年ほど使いましたが、この砂利が問題を起こしたことは一度もありませんでしたので、僕の中で大磯砂は底砂利にも濾材にも使える万能&素晴らしい素材なのです。ですから、今回も他の物を使う気にはなれませんでした。で、購入を考えてネット検索してみました。概ねの値段を知りたかったのと、過去に園芸用の大磯砂を購入したら粒が尖っていて使い辛かった経験があったからです。そしてみつけた単語が“酸処理”でした。・・・何だろう?と思って調べてみたら、昔の大磯砂は大磯という場所で採取していたのですが、現在は外国で似通ったものを大磯砂として売っているらしいのです。その外国の大磯砂は貝殻などの、水槽の水をアルカリ性にしてしまうため、弱酸性を好む魚や水草に使うのは良くないのだそうです。ですから事前にアルカリ性に傾かないようにしてしまおうというのが酸処理なのだそうです。上記したように僕が以前使っていた時はそんな処理はしませんでしたので、酸処理をしようかしまいか?迷ったのですが、魚を苦しめてしまうような飼い方はしたくないので酸処理にチャレンジしてみることにしました。勿論、酸処理済みを謳っている製品もあるのですが、そういう大磯砂は想像以上に高価でビックリ。一度チャレンジしてみるのもいいかも・・・と思った次第です。
とはいうものの、今回の水槽に水草が植えられるくらい大磯砂を引くのには概ね150Kgが必要です。まったくの未経験の僕がこれだけの量をちゃんと処理できるのか?の不安がつのりました。でも、それでも酸処理済みの大磯砂を買ったら10万超え。自分で酸処理したら道具を買いそろえても5万円以下です。このあまりにも大きな差を考えるとやはり自分でやるしかないと思いました。
酸処理とは・・・大磯砂は様々な粒の集合でできています。その中に水槽の水をアルカリ性に導いてしまう粒があるのです(貝殻など)。そういうアルカリ性に導く粒を前もって酸に漬けて融かして除去してしまおうという処理です。
僕自身、こんな事をするのは初めてなので上手く行くかどうか?不安材料で一杯です。それでも、とにかく材料を集めました。
1.大磯砂
砂って呼ばれていますが、実際は砂利と言った方が的確かもしれません。ネットで調べて2〜5mmくらいの1分という小粒を選びました。どのくらいの大きさが良いのか?は判らないのですが、最終的に水草を植えようと思っていますのであまり大きいと根が張り辛いのではないかと思えたのでこの大きさにしました。量は140kg。この量は概ね1800×600で5〜10p程度になるように色々なWebで書かれている数値を参考にして計算した結果、150Kg程度と思われましたが20Kg包装なので7袋を購入しました。
砂利は宅配便が便利。重いですから。
2.クエン酸
酸処理って言うくらいですから酸が必要です。食酢、木酢酸、塩酸なども使われます。要はなんでもある程度の強さの酸であればいいのです。しかし僕がクエン酸を選んだ理由はただ臭くないということ。加えて安くて管理が楽な事です。ヒャッキンで100g包装で売られています(一部のヒャッキンでは200gで100円もあるようです)。どのクエン酸が良いのかは判りませんが、僕は他の用でホームセンターに行った時に目に付いたのでそれを購入して来ました。概ね大磯砂一袋に対して一袋を目安に購入しました。(実はこんなに要らなかった)
どこのメーカーでもあまり変わらないと思います。
3.PH測定器
いろいろなWebで酸処理の仕方を見ていると必須に思えたので購入しました。しかしながら正確に測れるものは酸処理した大磯砂が買えてしまうほど高価です。酸処理も完璧を狙えばそういう正確に測れる物が必要になるとは思いますが、そこまでの完璧は狙っていないので安い物を購入しました。結論から言うとこれで充分、ってか、後になってみればPH測定器は絶対必要というものではないように思えます。少なくとも下の測定器はこの処理には不向きです。