ウキ作り


こんな感じのウキの作り方です。

タナゴ釣りでは親ウキとシモリ(ウキ)という二種類のウキを仕掛けに付けて釣るのが一般的です。そしてその親浮きは圧倒的に『斜め通し』と呼ばれるタイプのウキが使われます。『斜め通し』のウキとは斜めに穴が開いていてそこに道糸を通して使います。どうしてこういう穴を設けるかといいますと、タナゴ釣りは葦の間で釣ったりするので仕掛けを下ろすときにウキが寝ていては引っかかるからとか言われていますが、そんなことはないと思います。使ってみた感想では僅かに糸絡みが減るように感じます。タナゴ釣りは仕掛けが細いので絡むと大変です。そのために設けられているように感じます。でも、もしかしたらただ単なるお洒落かもしれません。タナゴ釣りは“”“粋”を重要視する釣りですから。ここではそんな親ウキの作り方を紹介します。
 普通の釣具店ではなかなか売られていないウキなので通販などで購入している方が多いようですが、見ているとロクでもないものを高値で売っている所も多々見受けられ、『失敗した』という声も時々聞かれます。
 ならば自分で作ってしまいましょう。基本的にタナゴ釣りではシモリ(ウキ)の動きで魚信を取るとの事ですので、親ウキはシモリ(ウキ)の姿勢を整えるために付けられるウキと考えるらしいです。もっとも遠くを釣ったり濁りの中を釣る時、シモリは見えませんのでこの親ウキの動きで魚信を取らなければなりません。よって、感度が高ければ高いほど良いに決まってますが、ある程度の感度があれば充分と考えています。

それでは作り方です。大きく分けて材の形成、穴開け、色付けの三つの行程です。

【材の形成】
 使用する材料はバルサ、桐、発泡スチロール、山吹など様々な物があります。ここでは一番手に入りやすくて安価で加工しやすいバルサ材を使って行きます。
 バルサ材はほとんどのホームセンターで売られています。棒状の直径7mmの物が手に入りやすいのでそれを使います。
@ 材切り
 作りたい長さに合わせて切断します。今回は僕のもっとも使用頻度が高い30mmに切りました。ノコギリで簡単に切れます。ノコで切るとバリ(?)が出ますので、カッターでそれを切り取ります。


指を切らないように気をつけましょう!

これで材切りは完成です。


揃ってません。いい加減な性格が出てますね。

えっ?なんでこんなに作るのか?・・・って?
後ほどバレるので先に言ってしまいます。僕の場合、技術が低くて最終的に没になるウキがほとんどだからです(笑。

A脚の取り付け
脚には釣具屋で売っているカーボンの棒の1.0mmと1.2mmを使いました。
まずは脚が入るだけの穴を開けます。できるだけ真芯を狙って穴を開けられれば良いのですが、それほど神経質にならなくてもいいです。どうせ後でセンター出しに削るのですから。


ルーターで穴開けします。

僕が使っているルーターは株)Sea Forseのツイスター200というのを使っています。


20,000円ほどだったと記憶しています。

ルーターの選び方は、まずは回転の正逆が出来ること、回転数が0〜となっていること、フットスイッチが付いていることが条件です。回転の正逆は削るときと色付けするときの回転が逆の方がやりやすいです。回転数は2500rpm〜なんてものありますが、そういうルーターですと、色付けするときに塗料が飛び散って大変な事になります。フットスイッチは無くてもいいかもしれませんが、両手が塞がっている時もありますので、やはりあった方が良いと思います。この条件を満たす中で安価な物が良いと思います。

カーボン棒の先にアロンアルファのゲルタイプを付けて開けた穴に差し込みます。


適量が難しいです。

あまり少ないと後の行程で外れてしまいますし、あまり多いとウキ下に団子状に固まって後の形成が難しくなります。丁度ピッタリが良いですが、どちらかといえば少なめがいいです。外れたらまたくっつければいいのですから。

穴に差し込んだら脚になるカーボン棒をカットします。このとき僕は下画像のような物を作って使っています。この後で差し込む豆チャックにどのくらい入るか?を計って、その深さのところに線が引いてあります。そして、その長さプラス1mm程度のところで切断します。


これは案外便利です。

切り終えたところです。


かなり芯からずれてるのが判りますが、まぁ何とかなるでしょう。

Bプレパレーション
そしたらカッターを使って概ねに形成します。最初からルーターで回転させながら削って行ってもいいですが時間が掛かるのでこうしておいた方が賢明だと思います。


ここもざっとでいいです。

豆チャックを用意します。
僕は株)Sea Forseの物を使っています。つかめてセンターが出せれば(ブレがなければ)何でもいいです。


昔は0.0〜1.1mmが銀色、1.2〜1.5mmが黒と色分けされて
いたのですが、今は総て黒になってしまったのでとても使い
辛くなりました。
 少々傷を付けて人目で判るようにしておいた方が良いと
思います。

先に形成したウキの元を豆チャックにセットします。
ここからほぼ出来上がるまでずっと付けたままですのでしっかりと付けておいてください。途中で外れるともう上手く行かないのは確実なので破棄するようになります。


こうなります。

これをルーターに取り付けて回転させて削っていくのですが、削り粉が舞い散るのでこのままでは部屋中が白くなってしまいます。ですから、僕はこんな道具を使って粉が飛散するのを防いでます。簡易集塵機です。ただ、段ボール箱をガムテープで開かないようにして、左右に手が入れられるように穴を空け、上面にも見えるように穴を空け、裏側には掃除機の先が取り付けられるようにしてあります。

  
左から上面観、斜め左観、裏面観です。

掃除機の先に塩ビパイプを取り付けて、そのパイプを裏面の穴に差し込んだだけの粗末な物です。

   
単純な物です。

見ての通り粗末な物ですがこの効果は絶大です。
掃除機のスイッチをONにして削り出します。


回転させながらこんな風にヤスリを当てて形を整えます。

最初に使うサンドペーパーは240番です。概ね削れたら次に360番で最終形態にします。


ウキの大元になる物が出来上がりました。

ここまでで、角がある形にするときは膨らみや凹みが軸に対して直角になるようにしましょう。


コレが案外難しいです。

出来上がった大元です。


一定の形には出来ませんが、これも手作りの良さと理解しましょう(苦笑。

【】【穴開け】
 まずは穴に通すプラスティックパイプを用意します。
 僕は上○屋で売っていたNAKAZIMA製のNo.287 1.5mmφというのを使っています。人によっては被覆電線の電線を抜いた物などを使う人もいますが、水が浸み込まなければなんでも良いと思います。


安価です。

まずは先ほど作ったウキの元にパイプに合った穴を斜めに開けます。


ドリルを入れるのは上からでも下からでもOKです。

出来るだけ正確に真芯を突き抜くようにします。判りやすいように僕は柾目の位置で抜きます。


裏側も柾目になっているので合格です。


こちらは随分右にずれてしまいました。失敗です。

穴開けが芯を外すのはセンターに脚となるカーボンの棒が入っているので、ドリルがそれに当たってずれてしまうのです。よって、突き抜く時はカーボンの棒に当たる時はルーターの回転を高速にしてゆっくりとドリル刃を進めることです。

今まではこういうのは捨ててしまいました。でも、とりあえず使用には不都合がないので今回は続けてみます。
まずは先ほどのパイプを開けた穴に入れて突き通し、反対側にある程度出して、一番先ではない所にゲル状瞬着を付けます。


瞬着を付ける位置が先っぽでないことに注意


瞬着が上だけにかたまってしまっているように見えますが、平均に入るように回転しながら引きます。

反対側も面一より少しパイプを残したまま切り、周りに瞬着(こちらはゲル状ではなく液状)で接着します。瞬着が硬化したらはみ出た瞬着と共にパイプを削って面一にします。ここは面一より少し多く削って僅かに窪ませるくらいにします。どうせ後で塗料が乗りますので、極端でなければ問題ないです。
 僕はこんな形状の先端工具を使って行います。


このテの先端工具は絶対に逆回転で使わない
ように注意しましょう。一回逆回転で使って
しまうと刃先が内側を向いてしまうので二度
と削れなくなります。

削った後はこんな感じです。


パイプの周囲まで削れていることが判りますでしょうか?

こうして出来上がった物です。


少しだけタナゴウキらしくなってきました。

【色付け】

@目止め
上記のようにしてできた物はまだ細かな穴が多く、面が綺麗ではありません。いきなり塗料を塗ると最終的に綺麗に行かなくなるので、一旦細かな穴を閉じる作業をします。用意するのはとのこです。今回は新たに穴うめ職人なんていうのを買って来ました。


水で薄めて塗るので小さな容器に水を入れておきます。


昔はこれを使っていましたが、なんかしっくり来ませんでした。

穴埋めはルーターを低回転にして左手の指先にとのこ(今回は穴うめ職人)をユルユルにして刷り込むようにして穴を埋めます。


陶磁器を作っている気分です。

また、この作業や塗料を塗った後乾燥させるのに僕は固めのスポンジ(建材かも)に穴を開けた物を作って使っています。便利です。しかし、面倒臭い人は発泡スチロールに刺して使ったり、脚を洗濯ばさみで挟んで立てておいても良いと思います。


これからも作ろうと思うなら作っておくと便利です。

こんな感じです。


洗濯ばさみだと倒れたりするのでこっちの方が安心です。

このまま一昼夜置いてとのこを完全硬化させたら表面をスムーズにします。中レベルに設定したルーターにセットし、紙ヤスリ(800番)を当てて表面をスムーズにします。この時、紙ヤスリを短冊形に小さく切っておくと使い易いです。


左の色が濃いのが800番、右の薄い色のが1200番です。

表面を削ることによって、出っ張っている所の地肌が見えてしまいます。そうしたら何度もやり直して地肌が見えなくなるまで繰り返す必要があります。いつもはそうするのですが、今回は出来るだけ塗料を薄くして浮力重視に作りたいのでこのまま作業を進めて行きます。


真ん中の上と根元の色が変わっている所が地肌が出てしまった所です。

この時点では斜め通しの穴も塞がってしまっているので、これを抜きます。抜くのに使う道具は針金でも何でもいいのですが、僕はギターの弦(6弦)の切れ端を使っています。持つ所に細い針金が巻かれていて持ち易いからです。


先は尖っていることがあるので丸めて使いましょう。

この後いよいよ色付けが始まります。
まずは後で塗る色の発色が良いように薄い白を塗ります。僕は最初は概ね3倍希釈(体積で)の物を塗ります。使用する材料はウルシ(『高級うるし』と書かれています。が低級カシューだと思います。)、うすめ液(希釈液)、筆類、うるしを溶いたり混ぜたりするための小さなディッシュ、それから斜め通しの穴に適合したナイロンの釣り糸です。


ニセモノ漆です。本漆はとても高価ですしかぶれます。


専用の物を使います。


筆類です。ほとんどがヒャッキン製です。


箱の切れ込みはこのように筆休めに使います。


小さなディッシュです。何に使う物なのか判りません。外国製でした。


斜め通しの穴に適合したナイロンの釣り糸

これらの用意が出来たらウキを低回転に設定したルーターにセットし、小さなディッシュに塗料(高級うるし)を出して、目分量でその2倍のうすめ液を入れ、筆で均一になるように攪拌した塗料を万遍なく極薄く塗ります。厚く塗ると薄い塗料は材の中に浸み込んでしまい、重量を増やして結果として浮力を落としてしまう可能性があります。次にしっかりと塗りますので、ここはコーティングの意味合いと考えて極少量にしておいてください。


最初に薄い塗料を塗るのですから少量に

塗り過ぎたと思ったら、木に浸み込んでしまう前にすぐにティッシュで吸い取ってしまいましょう。


あくまでも薄く。

塗り終えたら硬化を始めてしまう前に必ず斜め通しの穴に適合したナイロンの釣り糸を通して穴が塗料で塞がってしまうことを防止します。


忘れてしまうと後が大変です。

塗り終えた状態です。


地肌は見えてて当然です。

僕はここは絶対に硬化させたいので、このまま一週間以上は乾燥させておきます。
その後今度は二倍希釈の白を塗ります。


塗料の皮膜厚を出来るだけ少なくしたいので元は塗りません。

ここで再び一週間待ち、塗料を硬化させます。他の色は一日程度で硬化しますが、白だけはなかなか硬化しません。


待ちの時間はこれからの色付けについて考える時間です。

硬化したら再び高回転に設定したルーターにセットして800番の紙ヤスリで形を整えます。今回はとても精度が良くなくて全体にヤスリの削り後が付く前に地肌が出てしまったものが多々ありました。

  
地肌が露出してます。あまり良くないです。

本来ならここで、再び白を塗って地肌が出ないようになるまで繰り返すのですが、今回は塗料の厚みを極力減らしたいのでこのままで続行することにしました。

白の上に金を塗りました。


地肌が出てしまった部分は木の穴が判るほど窪んでしまっています。

このまま一昼夜待って硬化させます。
硬化したらこの金色の上に一層高級うるしの透明を塗り、再び一昼夜硬化させます。
(高級うるしの透明はほとんど塗ったことが判らないので写真は割愛します。)
そうしたらやはり高級うるしの透明で山立てします。僕はヘチマが好きです。


表面がゴツゴツしたのが判りますでしょうか?


白以外は概ね一昼夜で硬化しますがここは例外です。

普通は白以外は一日で硬化しますが、ここは厚塗り(山立てですから厚い部分が考えられます)ですので、再び一週間は硬化を待ちます。
 硬化したら金の上に濃紺を塗りました。


センターがブレブレなのが大判りですね!

再び一昼夜硬化させ、高回転に設定したルーターにセットし回転させながら800番の紙ヤスリで表面の凸凹をなくして行きます。


短冊に切った紙ヤスリの再登場です。

こんな感じになります。


こういう柄の出し方を“削り出し”と言います。

その後削った粉が白い部分に付くとトップの発色が良くなくなるので砂消しで除去&研磨します。


結構綺麗になります。

続けてプラスティック消しゴムで同様にします。


少し効果あり程度です。

その後トップを塗ります。
トップは好きな色を好きなだけ(見やすいように)塗ってください。ただ、あまり見やすさを重視してトップを大きくすると落ち着かないバランスになり、小さくすると品は良くなるのですが見辛くなります。丁度良い自分のバランスを考えながら塗ります。


少し大き過ぎるでしょうか?

大き過ぎると思ったら、何も下まで塗る必要はありません。隙間があっても大丈夫です。


この後また色を重ねますので隙間があっても大丈夫です。

ここで、誤魔化しというか、研ぎ出した所の上下に色を塗って隠してしまいます。僕は上下に濃い色を塗って真ん中辺りは透明にして隠すことが多いです。方法としては高級うるしの透明を5倍希釈にしたものと濃い色(今回は濃紺)を2倍希釈にしたものを用意し、まず5倍希釈の透明を研ぎ出した場所だけ万遍なく塗って、上下に濃い色を塗ってぼかして行きます。こうして出来たのがこれです。


なんか少しカッコ良く見えません?

こちらは少し厚めに塗ったものです。


厚めの方がいい感じかも。

これで2日置いておいて硬化させ、ハチマキを塗ります。これを入れることはビジュアル的にしまりが出ることと、センターがぶれていない証拠のために付けます。センターがブレている物はハチマキを入れると幅が一定になりませんから良くないウキであることを物語ってしまいます。よって、ブレがあるものはハチマキは入れない方がまだ見よいです。
 ハチマキの幅は太くても細くても見た目を壊します。バランスがとても難しいです。


ちょっと解り辛いですが研ぎ出ししたところと
トップの間にハチマキを入れました。
ちょっと太過ぎですね!

ここまで来て塗装の凸凹に気が付きました。こういうウキは一旦研ぎ出しの部分まで戻ってやり直せば修正可能です。そしてそのまま再び一昼夜放置して硬化を促します。


なんかいい感じになってきたでしょ?

完全硬化したら最終仕上げに入ります。まずは総てのウキを豆チャックから外します。
最初にトップコート材を用意します。これは光沢を出して綺麗に見せ、ウキを守るコーティングです。僕はサンコー商会のAM発泡クリヤーというのを使っています。ノーマルと薄い物(二倍希釈)の二種類を使います。希釈には専用のうすめ液を使ってください。


2と書かれている方が二倍希釈の物です。

湿度が高い時期(夏など)などはこの塗料は白濁してしまうのでリターダーというのを加える時もあります。


使わないで出来ればそちらの方が良いと聞いております。

まずは希釈していないAM発泡クリヤーにドブ漬けしてしまいます。この時注意しなくてはならないのは、漬けて引き抜く時をゆっくり行うことです。僕の場合一本抜くのに20〜30秒かけてゆっくり抜き出します。こうすることによって厚塗りを避けられます。ここで厚塗りすると、その後乾燥するまでの間に垂れてしまうので薄くしたいのです。


ゆっくりと時間をかけて引き抜きます。

引き抜いたらすぐに斜め通しの穴に糸を通して塞がるのを防止します。そして一日硬化を待ちます。
硬化したら再び表面を紙ヤスリの800番で整えます。


ルーターは使いません。総て手で回して作業します。
ヤスリでくるむようにすると綺麗に行きます。

こんな感じに出来ます。


凸部が削れて凹は残ります。

これを繰り返して凹凸が少なくなってムラなくヤスリの傷が付くようになるまで繰り返します。


ここが綺麗に出来ると仕上げが綺麗です。

ただ、ここで気合を入れすぎるとこんな具合に下地が見えてしまったりします。


アッチャー!(苦笑

こんな時はまた一旦塗りの所に戻ってやり直せば修正可能です。(仕上がりが見えてきて、ロクなウキが出来そうもないので今回はしません)。
 そのままバフ掛けに突入です。僕はバフ掛けに両頭バッファー を使っています。


右が布バフ、左がセーム皮です。

昔仕事で使っていた物です。片側に布バフを付け、もう一方にはセーム皮を付けています。布バフにはテルキジンという研磨剤を付けてます。


樹脂系の研磨剤ならなんでも良さそうです。

こんな感じで行います。


真横にすると飛ぶことがあるので、斜めにした方がいいかも。

高回転でやったり時間を掛け過ぎたりすると樹脂が溶けてしまうので万遍なく短時間を心掛けて下さい。 
セーム皮の方も同様です。


サッと掛けるだけです。

バフ掛け後はこんな感じになります。

  
同じウキの左が布バフ、右がセーム皮後。微妙な違いです。

いよいよ最終段階です。
二倍希釈のAM発泡クリヤーにドブ漬けします。方法は希釈していない物をやる時と同じです。

とりあえず仕上がりました。


見て判るとおり失敗だらけでした。


【検証】
久し振りのウキ作りでした。久し振りの上に新しい事(塗料を出来るだけ少なくすること)にチャレンジした所為で失敗作ばかりでした。
 それでは出来上がったウキの一本一本の検証をしてみましょう。

上のぼかしが雑。下の金が出過ぎで品がない→→→廃棄

 脚の上の方がスムースでない→→→廃棄

金色が出過ぎ。ハチマキがいびつ→→→廃棄

上の穴が汚いがまぁまぁ。

右肩が上がっている。センターボケ→→→廃棄

ハチマキに変な窪み有り→→→廃棄

脚の取り付け部に地色が出てしまった→→→廃棄

木地の線が出過ぎ→→→廃棄

脚に近い部分がスムースでない。ハチマキが下手→→→廃棄

上の穴が汚い→→→廃棄

センターブレっぽい→→→廃棄

ハチマキが下手→→→廃棄

上の穴が汚い。ハチマキの上に下の塗料がくっついてしまった→→→廃棄

脚付近がいびつ上の穴も下手→→→廃棄

先端の塗料が剥げた。脚付近がスムースでない→→→廃棄

下のぼかしが下手。ハチマキも厚過ぎ。柄も好みでない→→→廃棄

左右非対称→→→廃棄

センターブレか?ハチマキがいびつ→→→廃棄

Topの塗料剥げ。脚とボディーのサンターがずれている→→→廃棄

落下によるTopの塗料剥げ→→→廃棄

ぼかしが下手だが使用には耐えられそう。

残念。脚との連結部分に下地が→→→廃棄

思いっきり下地が見えて笑えます。→→→廃棄

合格

色に偏りが!センターブレでしょう→→→廃棄

柄が好きになれないが、まぁまぁ。

柄がまるでハリボテ。→→→廃棄

なんと言いましょうか?悪くはないかもしれませんが、好きになれない柄です→→→廃棄

結局30本切り出して、途中でどうしようも無い破壊が2本あって、28本が仕上げまで辿り着きましたが、合格が1本、人に差し上げられるほどではないが、とりあえず使えるのが3本でした。勿論廃棄と書かれているウキも使えない訳ではないです。というか、使用には充分耐えます。しかし、使っていて気分がいいわけではありません。釣りをしている間はずーーと見ているウキですから気分の悪い物はもったいないと思わずにどんどん破棄してしまった方がいいです。所詮素人が作ったウキです。商売ではありませんから駄目だったらどんどん捨てましょう。
 “素人だからこそ”っていうウキはとても好感が持てます。それは誤魔化しが少ないからです。柄やデザインは遠くプロにはおよびませんが、プロはそれなりに誤魔化してしまいます。例えばセンターのズレが発覚しないようにハチマキを描かなかったり、多少の凸凹も塗料で埋めてしまったり・・・etc.。購入後にそういう誤魔化しに気が付いたときはとても気分が悪いです。使える使えないで言えば上記のウキもみんな使えます。しかし、タナゴ釣りは“江戸の粋”ですから、そういう誤魔化しはあってはならないものと考えます。売られているタナゴウキを見ているとそういう誤魔化しを施した物が多々見受けられます。誤魔化してまで商品として売っているプロの方には申し訳ないのですが『誤魔化してしまえ』と思うその心がタナゴ釣りの域に達していないと思います。プロの方は素人ではないのですから是非製作者の心意気がオーラとなって発しているウキの製作を心掛けてもらいたいと思う次第です。

今回のウキ作りでの反省点としては・・・塗料をなるべく薄くしたいがために塗装の工夫をしたのですが、かえってそれが仇となったことです。普通に作ればもうちょっと合格品が出たのではないかと思われます。

追記
 ウキのTopについてですが、Topは小さく作った方が見た目の品がいいです。ただ、使用を考えると大きい方が視認性が良いのでバランスが難しい所です。僕の場合、長竿を振ることが多いので尚更です。長竿ではウキは必ずTopを水面から出しますので、Topにはある程度の長さがどうしても必要になるのです。一般的なタナゴ釣りでは短竿&シモリで釣る事が多いのでこんなに大きなTopにすることはないでしょう。勿論僕も短竿&シモリの釣りをすることがありますが、Topが大きいことによる不都合は感じません。ただ、形状は尖らせておかないと水の表面張力によって、ウキが沈んでウキのTopが水面から水中に変わる瞬間から急に沈降速度が上がったりするのがとても不愉快です。ひどい物は魚信みたいにピコって入ります。繊細さを誇るタナゴ釣りにこれはないでしょう。スムーズに水面を抜くウキの方が良いに決まっています。ですから、大きくて尖った形のTopがタナゴ釣りではオールラウンダーと思っています。